ARTと鍼灸の併用による相乗効果 |
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体本来の持つ力を高めていくという東洋医学の考え方に対する認識も高まりつつある潮流の中で、西洋医学的治療と同時並行して東洋医学的治療を受診され

近年の研究によると、着床し妊娠安定期に至るまでの補助生殖医療の妊娠率が、鍼灸を併用した場合にその妊娠率が高まるといった論文報告あり、実際に当院でもその傾向が強く見られております。
当院では専門的知識を有した女性鍼灸師も在籍しておりますので、お気軽にご相談ください。
高度生殖補助医療(ART)を受療中の方へ |
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高度生殖補助医療(ART)とは、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)のように卵子と精子を体外で受精させる医療技術のことであり、生殖医療技術、高度生殖医療、生殖補助医療などと呼ばれることもあります。
ARTの種類には、下記の4つの方法があります。
- 体外受精-胚移植(IVF-ET)
- 顕微授精(ICSI)
- 接合子卵管内移植(ZIFT)
- 卵管内配偶子移植(GIFT)
- 上記のものに加え医療技術として「胚の凍結」、「アシステッドハッチング」、「着床前診断」なども含まれます。
①ドイツ・ウルム大学で行われた比較対照試験 |
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海外では不妊に対する鍼灸の効果を検証した研究が活発に行われております。ここでドイツで行われた研究の一例をご紹介致します。この研究はART受療中に鍼治療を受けると妊娠率が上昇することを示したものです。対象者が160名と多く研究の精度としては高いものであり、信頼できる結果であるといえます。
出典:Influence of acupuncture on the pregnancy rate in patients who undergo assisted reproduction therapy Wolfgang E. Paulus, M.D.etc.FERTILITY AND STERILITY® VOL. 77, NO. 4, APRIL 2002
タイトル:鍼治療が補助生殖医療受療者の妊娠率に及ぼす影響
目的:胚移植の前後に鍼治療を受けたグループと鍼治療を受けなかったグループを比較し、鍼の妊娠率に対する効果を評価すること。
対象者:ART受療中の良質な受精卵を持っている160人をそれぞれ鍼治療を受けるグループと受けないグループ各80名に振り分け、その効果を比較検討した。
結果:胚移植後,6週目の超音波検査で胎嚢の存在が確認できた割合(妊娠率)は、対照群(鍼治療を受けていないグループ)で26.3パーセント(80人の患者のうち21)であったのに対し、鍼治療群では80人中34人の患者(42.5%)であった(P =0.03)。
結論:鍼治療は、ART後に妊娠率を向上させるために有用であると思われる。
② IVFに対する鍼灸効果の調査研究(レビュー文献) |
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Acupuncture in IVF: A review of current literature.A. Nandi, A. Shah, A. Gudi & R. Homburg Homerton Fertility Unit,Homerton University Hospitals NHS Trust, London, UK Journal of Obstetrics & Gynaecology 2014
タイトル:IVFにおける鍼治療:近年の文献のレビュー
【論文の解説】わが国でも結婚の高齢化などにより妊娠年齢が高くなるに従って体外受精の使用が増加しています。しかし、生殖医療の技術は進化していますが、体外受精の成功率に大きな変化はなく、特に高齢女性では低いのが現状です。そのため体外受精治療の成功率を高める可能性を持つ治療法を受ける方も年々増加しつつあります。そのような状況の中、欧米諸国でも多くの方が体外受精を受けながら鍼治療を受けているケースがあり、同時に生殖医療に関わる臨床医が体外受精時に鍼の効果について尋ねられることが増えつつあります。国内では見られない例ですが、国外の医療機関では1999年以降、IVF治療中の約1000~5000人を対象とした大規模の臨床研究やシステマティックレビュー等の報告が行われ、幾つかの研究からは体外受精の成功率を上昇させるのに鍼の有益な効果があるとの報告もされています。この研究では実際に、大学病院の生殖医療部門のイギリスの医師が患者に鍼の効果について入手可能な文献を要約し鍼の効果について検証することを目的として実施されたものです。
* 不妊に関するご質問等がございましたらお気軽にご相談ください。