マタニティケア・産前産後の鍼灸
出産前後の骨盤帯痛(恥骨痛、仙腸関節の痛み、尾てい骨の痛み)について
母体は出産に備えて分娩を行いやすくするため, ホルモンの影響により, 靱帯や筋肉が弛緩しやすくなることがあります. お腹が大きくなるに従い, 骨盤に限らず, 全身の関節に変化が出ることにより自律神経のバランスも変化します, 筋や靱帯の弛緩は骨の癒合部や筋, 靱帯にその影響が出るため, 日常生活動作のなかでも骨格筋に負担がかかりやすくなります. とくに妊娠中は体重増加などで体型も大きく変化する期間です. 腰部の前後の湾曲が強くなることから脊椎に負担がかかります. 出産前後に恥骨痛や尾骨の痛みを生ずる場合がありますが, このような痛みにも鍼灸は有効です. 出産前後は鎮痛剤を服用することが困難ですが, 鍼灸では恥骨や骨盤の痛みを取ることができます. 以下では出産前後の特徴的な痛みと体との関係について説明します.
出産前の痛み(股関節、お尻の痛み、坐骨神経痛、腰痛、背中痛、肩こり)
胎児の成長に伴いお腹はせり出してくるようになります. 骨盤の開きに加え, せり出してくるお腹とのバランスをとるために, 身体の重心の位置が後ろに移ります. そのため股関節が外側に開く, がに股になり, 腰部の前後の湾曲が強くなります. このような姿勢は股関節周囲の筋が骨盤と股関節に大きな負荷を与え, 股関節やお尻の痛みにつながります. 場合によっては, 坐骨神経痛が出ることもあります. 頭痛の原因の約9割は肩や頸部の緊張やこりにありますが、全身の筋のバランス不均衡により頭痛や肩こりを生じることがあります.
ホルモン(リラキシン)と骨盤の緩み
大きくなる胎児に合わせて体中の関節, 骨盤の開きを柔軟にするため, リラキシンというホルモンが分泌されます。このホルモンは子宮弛緩因子とも呼ばれるもので、卵巣, 子宮, 胎盤などから分泌され, 妊娠の維持および分娩の補助としてはたらくものと考えられています.
出産後の痛み(骨盤痛、恥骨痛、腱鞘炎)
次第に大きくなっていく赤ちゃんの成長を見守り育児を行うことは幸せなことです. しかし, 出産後も約1年位の間はリラキシンの影響が続くため, 骨盤や関節, 筋や靱帯が緩んだ状態で育児を行うことになります. そのため, ぎっくり腰をはじめ股関節や背中の痛み, 慢性の肩こりや頭痛悩まされることがあります. また, 抱っこなどで出産前には使用頻度の高くなかった筋を使うことから腱鞘炎にかかる割合が高いのも特徴です.
妊婦の骨盤帯痛への鍼治療の効果に関する報告(スウェーデン, Goteborg大学産婦人科)
近年では鍼の骨盤帯痛に対する科学的効果の解明も進んでおります. 「スウェーデンGoteborg大学産婦人科のHelen Elden氏らは、妊婦の骨盤帯痛治療に鍼を追加すると、痛みをより軽減できることを明らかにした。」との研究報告が発表されましたので詳細はリンクをご参照下さい。
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出産前後の恥骨痛、骨盤痛への鍼灸治療
鍼灸は鎮痛効果とともに筋への血流を改善することで出産後の痛みにはとても有効な治療法です. 母胎や授乳への影響からお薬を服用することはなるべく避けたいと話すお母さんが多いですが, 鍼灸はそのような方のニーズの応えることができる治療法です. 妊産婦への鍼灸治療は古来より認められており, その治療はわが国でも行われてきました. 東洋医学では産後は「腎虚」といい出産のために体力が消耗した状態であると考えています. 腎とは現代で言う腎臓や子宮などを意味しており、腎のはたらきが落ちると筋や体力の消耗といった症状が出るといわれています. このことはまさに現代医学的な解釈でも当てはめることができます. 鍼灸では痛み以外にも, 「補腎」いい腎の機能を高める治療を行います. そうすることで痛みの軽減と減退した体力を回復できるといったメリットがあり, 副作用等の心配は無く安全な治療法です.
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