股関節痛(変形性股関節症などの骨格筋系股関節痛)
hip pain
筋に原因のある股関節痛の特徴
股関節自体に問題があることもありますが、股関節を構成する筋肉の炎症などにより股関節の痛みを生じることがあります。
股関節では前面や外側に痛みを感じることが多く、その特徴によりどの部位の筋に問題があるか把握することができます。
・前面の痛み(屈筋の炎症):腸腰筋(腸骨筋、大腰筋、小腰筋)の中央付近に鼡径靭帯が横切っており、この靭帯が筋肉に負担をかけることがあります。例えば急なしゃがみ込みや、スポーツでは急なダッシュ・ストップ等により筋肉が靭帯により圧迫を受け、腸腰筋腱膜に炎症が起こります。座位時には足の付け根や奥深い方に重いだるさや痛みを感じることが特徴です。
・外側の痛み(外転筋の肉離れ):股関節外側にある筋肉(大腿筋膜腸筋など)が肉離れを起こす事により生じる痛み。特徴として、股関節を内側や外側に動かす際、また坂を下る際に痛みを生じます。
・外側の痛み(大腿筋膜腸筋のスナッピング):大きな帯状の筋膜や腱が大転子の上を移動する際にスナッピング(弾けるような音)を感じ、股関節がずれてしまったような感じがすることがあります。股関節を曲げたり回旋させたときに起こり、バレエダンサー等によく見られるのが特徴です。
・外側の痛み(ヒップポインター):骨盤帯(腸骨稜)の外側への直接的打撃、いわゆる打撲等により痛みが生じることがあります。打撲により、骨盤帯に付着する筋肉が硬くなり、痙攣を起こします。痛みがひどい場合は上体を曲げたりひねることも困難となります。
変形性股関節症
変形性股関節症は日常生活において工夫したり、適切な保存的治療を行うことで股関節症の進行をある程度抑えることも可能になってきます。
変形性股関節症には「一次性」と「二次性」があります。一次性股関節症は、原因が明らかでないものをいい、欧米ではほとんどがこのタイプです。二次性股関節症は、特に女性に多くみられる疾患で、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全(股関節の屋根の作りが浅い)、また、労働条件やスポーツ、外傷などの負荷が継続的に加わり発生するものや、感染症などに続発するものがあります。
治療は日常生活指導、理学療法、薬物治療などの保存的治療が優先します。変形性股関節症の特徴として、痛みが強く感じられるときと、気にならない程度の痛みであるときがあり、痛みの程度にも変動があります。
変形性股関節症の治療や生活時の注意などは、病気の進行状況や年齢、各自の生活スタイルなどによって変わってくるものが多く、行うべき治療や避ける必要があるものなどが異なります。
変形性股関節症は、放置すると前股関節症→初期→進行期→末期へと進行してしまう病気ですので、早期発見、早期治療が大切です。末期では股関節の痛みが非常に強い場合、修復が不可能なことがあり、症状によっては人口の関節にする手術が必要なケースもあります。臼蓋形成不全や股関節症の状態や進行の程度により、様々な手術法があります。
股関節痛と鍼灸治療
鍼灸の適応となる股関節痛は骨格筋に由来するものと変形性股関節症に由来する痛みです。変形性股関節症では痛みがひどくなると人工股関節置換術などの手術となる場合がありますが、痛みをコントロールすることにより手術を行わなくとも日常生活を送ることが可能となる場合もあります。
鍼治療では病態の鑑別を行った上で、股関節痛そのものの痛みをとる施術と、その予防効果を高めるために股関節痛を起こす原因となった筋への施術を同時に行っております。
大腿四頭筋やハムストリングス(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋:膝を曲げる時に使う)の筋力低下、または筋疲労によって膝痛が発症することが多くあるため、これらの筋への施術を含めた予防措置も行います。
股関節痛に関する注意点
股関節に痛みを感じる場合は、まず外傷の有無を調べ、レントゲン撮影と専門医の診察が必要です。痛みの原因が股関節にある場合と、そうでない場合があります。股関節自体の疾患には、変形性股関節症、大腿骨頭壊死、弾発股、大腿骨骨折などがあります。股関節以外の疾患には、腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛などの神経痛、筋肉痛、腱の断裂、悪性腫瘍や骨への転移などがあります。
股関節の痛みが強いときは外出は極力避けたり、自動車などを使って移動をするようにしたり、必要に応じて歩くときは杖を使ったりして、出来る限り股関節にかかる負担を減らすようにしましょう。
基本的には、日々変化する股関節の痛みの度合いによって必要な行動を使い分けると良いと思います。痛みが強いときには無理をせず、痛みが弱いときに必要なことを済ませるなどの日常生活における工夫が必要です。
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